なぜフッ化物が必要なの?
2018年6月24日 (日)
日本人の虫歯は、医療体制の整った先進国の中で比べると、ダントツに多いことをご存知ですか?子供たちの虫歯は、学校や地域を通じた歯科保健に関係する様々な活動や、子育て中のご両親の努力のおかげで、減少傾向にあります。現在、例えば12歳の子供たちの永久歯の虫歯経験指数の1人平均は、1番多かった30年前の3分の1にまで減少しました。これだけ聞くと、日本人のお口の健康状態もなかなかいい感じだ、と嬉しくなりますね?
ところが、先進国の中で比べてみると、なんと日本の12歳の虫歯経験数はダントツ多く、新興国や発展途上国も含めた188カ国の1人平均のデータと比べても、むしろ少し多い位のレベルなのです。
日本の働き盛りの大人(40代)の虫歯経験歯数に至っては、残念ながら80年代から横ばい状態ですから、現在の日本は世界の歯科保健のレベルから見て一体どのような状況にあるのか、考え込んでしまいます。
日本人は、手先が器用で、勤勉な国民性だと言われています。2005年の国内の歯科疾患実態調査では、 1日2から3回歯を磨く人が70%以上を占めていると言う、世界に誇れる歯磨きに熱心なお国柄なんです。しかも砂糖の消費量も少なく、本当ならば、虫歯予防に大変有利なはずです。しかしこうした結果になってしまっているのは何故なのでしょうか。
WHO (世界保健機構)も指摘している事なのですが、フッ化物を使わない歯磨きでは、期待するような虫歯予防効果が得られないという多くの調査結果があるからなのです。というのも、歯の形は複雑で凸凹しています。深い溝がたくさんあります。歯間にも歯ブラシの毛先はなかなか届きませんし、しかも歯並びの良い人だけではありません。歯科のプロだって、とても数分で細かくお掃除することなどできません。日本は、世界レベルから言うと、フッ化物の利用にそれほど積極的ではありません。もちろん国は使用を推奨していますが、フッ化物濃度を調整した水道水やフッ化物を添加した食塩、フッ化物タブレットなどによってフッ化物を体の中に取り入れる全身応用は残念ながら行われていません。局所応用としてのフッ化物洗口の恩恵を受けている子供たちも、まだまだ限られています。また、歯磨き剤やフッ化物ジェルに含まれるフッ化物の効果がお口の中で発揮されるには、ちょっとした工夫やコツも必要です。フッ化物を効果的に使って、虫歯をしっかり予防したいものです。
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