海外のフッ化物利用を知る!
2018年7月16日 (月)
フッ化物濃度1ppm 前後に水道水を調整する方法フロリデーションといいます。調整、あるいは天然のフロリデーションを取り入れている君には、2004年現在で58カ国あります。こうした(フッ化物の全身応用) をむし歯対策に用いている国は、海外では少しも珍しくありません。水道水フロリデーション、あるいはフッ化物を添加した食塩、あるいはフッ化物タブレット等から虫歯予防に必要なフッ化物を摂取し(フッ化物の全身応用の場合はどれか1つを利用し、重ねる事は避けます)、それを補う分としてフッ化物入り歯磨き剤を使ったり、歯科医院でフッ化物歯面塗布を受けて歯を守っていこうと言う考え方をとっています。
赤ちゃんのフッ化物の経口摂取を推奨している国もあり、フランス、ドイツや北欧では、歯科や小児科が赤ちゃんや幼児にフッ化物入りのタブレットを処方しています。またブルガリア、チリ、ペルー、ロシア、タイ、イギリスのように、フッ化物入りの牛乳の飲用が学校単位で行われている国もあります。小さな頃から積極的にフッ化物の全身応用がされるのには訳があります。顎の中で歯が形成される時期に(永久歯の前歯は3、4ヶ月〜4、5才までに完成。第一大臼歯は出生児〜2、3才頃までに完成。第二大臼歯は2、3才〜7、8才頃までに完成)適正濃度のフッ化物をとっていると、血液に運ばれたフッ化物が形成中の歯に届き、硬く丈夫な歯が顎の中で育つと言うメリットがあるからです。生える前から丈夫に育っていると、生えてからの虫歯のリスクを減らすことができると言うわけです。
ただし、あの形成期のお子さんが、重複して全身応用を用いると、フッ化物の過剰摂取のために斑状歯になり、丈夫ではあっても見栄えが悪くなってしまう恐れがあります。そこで、適切なフッ化物応用についての保護者への指導も、歯科医師や小児科医の大事な仕事になっています。
海外の国々が採用しているフッ化物の応用法は、お国柄ごとに様々です。例えば水道水フロリデーションを取り入れているオーストラリアでは、全身応用の重複を避けるためタブレットの処方はしていません。地形に高低差があり広域水道網の整備が難しいスイスでは、水道水フロリデーションを止めて食塩による摂取を選択しています。全身応用を積極的に行う国では、過剰摂取を避けるため、ガムやお菓子のフッ化物の添加を止めたり、フッ化物洗口の開始年齢を遅らせるなど、国内事情に合った舵取りが行政によって行われています。
なお、日本国内のフッ化物利用は局所応用に限られていて、国際的に見ると消極的な使用にとどまっています。フッ化物入り歯磨き剤を使い、フッ化物ジェルを塗り、フッ化物洗口をして、定期的にフッ化物歯面塗布を受けても、用法・容量を守っている限り副作用の心配はありませんのでご安心ください。
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