喫煙がお口の健康に与える影響
2019年2月20日 (水)
タバコによる全身への害は皆さんご存知かと思いますが、お口への害は実はあまり知られていません。
お口は、タバコの煙が最初に通過する場所です。
喫煙による一番身近なトラブルは、歯の表面へのヤニの付着です。
その他には口腔がんや咽頭がんの発生率が3倍に増加、味覚が鈍くなる、歯茎が黒ずんでくる、口臭が悪化するなど、お口に悪い影響がたくさんあります。また、喫煙は歯周病の大きなリスク要因にもなります。
1980年代頃より喫煙者と非喫煙者で歯周病の進行具合に差があることが注目され始め、現在では喫煙は歯周病の大きなリスク要因であることも判明しています。
子どもの虫歯発生率や歯内療法の予後も、親が喫煙者か非喫煙者かで左右されるとの報告もあります。
非喫煙者と比較すると、喫煙者の歯周病のリスクは2.7倍にもなり、歯の喪失は10年早まるといわれています。
特定の細菌や年齢、糖尿病などよりも喫煙の方が歯周病の重症度と関連が深いという報告もあります。
喫煙の歯周病への影響は、「かかりやすい」「気付きにくい」「治りにくい」の3つが挙げられます。
生体本来の免疫機能が喫煙によって妨げられるため、歯周病にかかりやすくなります。喫煙者は非喫煙者に比べると重度に進行した人の割合も高いことが知られています。
また、ニコチンの血管収縮作用により炎症症状が隠れてしまい、歯周病が進行しても出血などの自覚症状が出にくくなります。そのため、発見が遅れてしまい、気が付いたら重度の歯周病になっていた…ということもあります。
歯茎に赤みや腫れが目立たないのに、歯周組織の破壊が進行している場合もあります。
いざ歯周病の治療を開始しても、喫煙者の歯茎は硬くて沈着物の除去が難しく、修復も阻害されているために思うように治療効果が表れません。
禁煙をするとお口の中も健康を取り戻します。継続すれば歯周病のリスクも低下します。
禁煙直後は一時的に歯茎の出血が増えることもありますが、正常な炎症反応なのでご心配しないでください。
これは、ニコチンの血管収縮作用がなくなるために起こります。
また、正常な炎症反応が戻ることによって、赤みや腫れなども増すこともあります。
こちらも一時的な症状なので、歯茎が健康な状態を取り戻せば次第に治まっていきます。
禁煙を続けるにつれて、歯茎は健康なピンク色になり、みずみずしさを取り戻します。メラニン色素の着色も薄くなっていきます。
タバコを吸う人は年々少なくなってきています。
歯周病の進行を止め、1本でも多く歯を残していくためには禁煙が効果的といえるでしょう。
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