フッ素で再石灰化がスピードアップ!
2019年8月5日 (月)
「フッ素を使う」と聞くと、「歯の表面をコーティングするのかな?」と思うかもしれませんね。でも、フッ素の歯への作用はこれとは全く別物です。
とても不思議なことですが、カルシウムイオンやリン酸イオンと一緒に歯の結晶(フルオロアパタイト)を作り、歯そのものとなって脱灰を修復するのです。しかもその働きがとてもスピーディです。
歯磨き後、口の中に残った微量のフッ素は、歯の表面や唾液に留まるだけでなく、プラーク(細菌のかたまり)にもシッカリしみ込みます。プラークは虫歯や歯周病を引き起こす根源。きれいに磨いたつもりでも、取りにくい歯の溝や歯間などに残りがちです。
フッ素はこれを逆手に取り、取り残しのプラークをフッ素の貯蔵庫として利用するのです。
フッ素は唾液が酸性のときもセッセと働くらしいのです。カルシウムイオンとリン酸イオンを引き連れたフッ素が、脱灰量に相当する分の結晶を作り、歯に沈着してくれたのでしょう。
さらに特筆すべきは、こうして歯に沈着した結晶(フルオロアパタイト)が再び脱灰し唾液のなかに溶ける時には、フッ素がイオン化し放出されるということです。
つまり歯自体がフッ素の貯蔵庫でもあるのです。
長期間使えば使うほど虫歯予防の効果が複利で増えるのは、こうしたことも関係しているのかもしれませんね。
リスクに合わせて組み合わせよう!
むし歯になりやすい人なりにくい人がいること、そしてさまざまな要因がからまりあった結果として、むし歯のなりやすさ(リスク)が生じていることをご説明しました。
患者さんの生活習慣は一人一人違いますし、唾液の質や量、そして歯の質も様々です。むし歯のリスクが一人一人違うのは当たり前のことです。
歯が酸に強く唾液の量や質もバッチリ、口の中のむし歯菌が少なく、あまり歯磨きをしなくてもむし歯にならない人もなかにはいます。
一方、ていねいに歯みがきをし、歯の健康についても関心が高いのにいつの間にかポツリとむし歯ができてしまうという方もいます。
また、むし歯のリスクは、個人差のほかに、年齢によってもだいぶ違ってきます。
学童期から高校生くらいまでの時期は、永久歯がまだ成熟しておらず耐酸性が低い時期です。
また中高年になって歯ぐきが痩せると、エナメル質よりも一段と軟らかい象牙質がむき出しになって、そこから根面う蝕(歯の根元のむし歯)という、この年代に特徴的なむし歯のリスクも高まってきます。むし歯予防は、その人の個性と生活背景、そして年齢に合わせてオーダーメイドで行われることが重要なのです。
そこでフッ素の利用法も、リスクに合わせて工夫する必要があります。
毎日フッ素配合歯磨き剤を使うことは基本ですが、むし歯予防効果をさらに上げる場合は、フッ素ジェル(フォーム)も使ったり、フッ素洗口液の処方を歯科医院で受けたり、歯科医院で定期的にフッ素塗布を受けるなど、フッ素の利用法をいくつか組み合わせていきましょう。
歯科医院が提供するむし歯予防プログラムでは、患者さん一人一人のリスクに合わせたフッ素の利用法の指導や処方、フッ素塗布といった処置が受けられます。
定期的な検診、プロフェッショナルクリーニング、歯みがき指導や食事指導なども受けられるので、3ヶ月ごとなど、リスクに合わせて診てもらっていると安心です。
また、むし歯予防だけでなく歯周病予防なども含むためトータルなケアが受けられますので、歯の健康維持にはうってつけです。
一人で思い悩まず、かかりつけの歯科医院を見つけて、ぜひ相談してみてください。
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