歯肉の赤みや腫れはこうして起こる
2019年6月3日 (月)
歯肉の赤みや腫れの原因はプラークと以前からお伝えしているかと思いますが、今回はもう少し深く、赤みと腫れがどのように発生するのかをお教えします。
歯肉の赤み(発赤)はこうして起こる
プラークが歯頚部に付着すると、歯肉組織内の細い血管で血管拡張と充血が起こります。
血管が拡張する仕組みは、まずプラーク内の内毒素により組織内のヒスタミンなどの炎症性物質がはたらいて、血管が広げられます。
そして緩んだ血管に血液が流れ込みます。この状態が充血です。
炎症の部分には通常の10倍以上の血液が流れ込みます。歯肉が赤く見えるのは、充血が起きているからです。
プラークによって歯肉が赤く見えるのには、もうひとつ理由があります。
それは、歯肉内の歯肉血管叢です。歯肉付着上皮のすぐ下には、複雑な網目構造の細い血管があります。
プラークが原因で炎症が起きると、プラークと非常に近い場所にある歯肉血管叢に10倍以上の大量の血液が流れ込みます。
つまり、血管内が大量の赤血球によって満たさせるために歯肉が赤く見えるのです。
歯科を受診する前は真っ赤になっていた歯肉が、ブラッシングやクリーニングによって1週間後には健康的なピンク色に変化していた!なんて経験はありませんか?
これは、炎症の原因であるプラークが除去され、すぐ近くにあった歯肉血管叢の血液量が正常に戻ったためです。
歯肉の腫れ(浮種)はこうして起こる
プラークが歯頚部に付着すると、歯肉組織内の細い血管が充血すると同時に、血管の透過性が高くなります。透過性が高くなることを血管透過性亢進といいます。
これは、血管内の血液成分が血管壁から外へ漏れやすくなることを意味します。
血管の内側には血管内皮細胞があり、内皮細胞同士が手を繋ぐようにして血管の「腔」を作ります。
ところが、プラークの刺激により細胞が縮んだり壊れたりします。
その結果、隣の細胞と繋がっていた手の部分が離れ、細胞の間に隙間が生じます。隙間は少しずつ広くなり、この隙間を通って血液成分が血管の外へ漏れていきます。
最初は隙間が狭いので、漏れるのは分子量の小さな液状成分ですが、隙間が広がるにつれて分子量の大きな血清成分や血漿成分が血管の外へ出て、その部分に留まると組織は腫れていきます。
これを浮腫といいます。
つまり、歯肉が腫れるのはプラークの毒素によって血管の透過性が高まった結果、液状成分が血管の外に漏れ出て、浮腫を生じるからです。
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