転んだ!ぶつけた!?血が出た!?子どもの歯のケガ
2018年10月15日 (月)
お子さんが転んだりして、歯をぶつけて「出血している」「痛がって泣いている」という場合、保護者の皆さんは迷いなく歯科を受診されると思いますが、(大人の場合も当てはまります)そうではない場合……
「出血していない」「痛みがすぐに治まった」という場合は「たいしたことないのかな?」「歯科医院に連れて行くほどのケガなのかな?」「様子をみても大丈夫かな?」などと迷うこともあるようです。
ですが、本当はこうしたケースの時こそ注意が必要なのです。血が出ていなかったり、痛みがすぐに治まっても、歯の根っこ(歯根)や歯の周りの歯ぐきなどの組織(歯周組織)にダメージが及んでいることがありますし、しばらく時間が経ってから痛みや腫れ、歯や歯茎の変色が出てくることもあります。
また、お子さんが歯をぶつけて乳歯が抜けてしまったときに、「どうせもう少ししたら永久歯に生え変わる乳歯だからいいかな」と考える親御さんもたまにいらっしゃるようですが、これは絶対にダメです。というのも、歯が抜けるほどのケガというのは、相当な力が歯と歯周組織にかかっているので、乳歯の奥で成長している永久歯の芽にそのダメージが及んでいるケースも多々あるようです。
歯根や歯周組織、あごの骨、永久歯の芽といった、目では見えない部分へのダメージはエックス線写真等を用いた専門家による検査が必要です。ですから、出血や痛みが無い場合でも、ぜひ歯科を受診して、検査を受けて頂ければと思います。速やかに歯科医院を受診してもらうとその分治療が上手くいく可能性も高まります。
もしお子さんが転んで歯や口の中をケガしてしまった場合、まずはお子さんの様子を見て、頭部や全身の症状があるようなら、まず先に医科を受診してください。全身に心配な点はないようでしたらここでお話をする応急処置をしつつ、できるだけ早く歯科への受診をお願いします。
★歯が抜けた場合
- 歯のケガのうちの緊急度ナンバーワン。抜けた永久歯は早く植え直してもらうほど元に戻る可能性が高まります。
- 抜けた永久歯が残せるかどうかは、時間との戦いです。お子さんの場合、治療の成功率が高い時間は3時間以内といわれています。
- 乳歯が抜けた場合、植え直すことは原則としてありませんが、後に生えてくる永久歯への影響も考えられますので、受診をおすすめします。
- 抜けた永久歯は乾燥が大敵です。ビニールやラップで包んで乾燥を防ぎ1時間以内に受診しましょう。すぐの受診が難しい場合は牛乳*か生理食塩水に入れて冷蔵庫で保存してください。幼稚園や学校には「歯の保存液」が備えられているところもあります。また、薬局でも歯牙保存液が販売されています。
- 抜けた歯を水道水で洗うのはNGです。水道水には塩素が含まれているため、砂や泥がついていても、抜けた歯を水で洗うのはやめましょう。どうしても洗いたいときは牛乳*で洗いましょう。
(*お子さんが牛乳アレルギーの場合は避けましょう)
★歯が折れた、欠けた場合
- 歯のかけらを見つけたら牛乳に入れるなどして、乾燥を防いで歯科医院にお持ちください。
- 歯の神経を守るために1日以内に受診するのがおすすめです。すぐに痛みが無くても、半日くらい経つと痛みが強まることが多いので放置は危険です。
★歯がぐらぐらしている場合
・脱臼した歯をそのままの状態にして、できるだけ
早く歯科を受信しましょう。
★くちびるや歯ぐきが切れた場合
- 傷口を清潔なガーゼなどで軽く押さえて止血しておきます。腫れを防ぐために、できるだけ早く氷で30分冷やします。腫れてからは水とタオルで冷やします。
- アスファルトや土などは、たとえ粉のような細かい異物でもキズの中に残ると傷跡になりかねません。その日のうちに歯科医院を受診しましょう。
スポーツをするときに歯や歯周組織を保護するための「マウスガード」というものがあります。
マウスガードは歯や歯周組織のけがを予防するだけでなく、頭位の安定や脳震盪の予防にも効果が
あるとされています。
カテゴリー: 歯の豆知識