フッ素の効果は複利で増える?!使い続けると効果が増える!?
2018年10月1日 (月)
Q、フッ素配合歯みがき剤ってむし歯予防によく効くそうですね。ところでどのくらい効くのですか?
A、むし歯を20%~30%減らすと言われていますが、しかしここ数十年のむし歯の減り方を見ていると、実際にはもっと効いているのではないか、「使い続けると効果が複利で積みあがる」というイメージです。
※複利とは複利法によって計算された利子のこと。複利法とは元金(がんきん)によって生じた利子を次期の元金に組み入れる方式であり、元金だけでなく利子にも時期の利子がつく。したがって、各期の利子が次第に増加していく。
フッ素の配合された歯磨き剤の市場シェアが、国内で50%を超えてから、ほぼ20年が経過しました。
現在のシェアは90%を超え、毎日歯を磨く人の多くが、フッ素の虫歯予防効果の恩恵に知らず知らずのうちに浴することのできる時代になっています。
とくに、歯が生えたころからフッ素配合歯磨き剤を使うことのできた小中学や若者世代の虫歯は、とにかく激減しました。
フッ素配合歯磨き剤の普及が伸びたこの時期の虫歯数の推移には、驚くべきものがあります。
もちろん、虫歯が減った理由は、歯磨き剤のフッ素のおかげだけとは限りません。
歯の健康についての関心が高まったり、歯磨きがひと昔前に比べて格段に丁寧になったおかげかもしれないからです。
ただ一方で、数十年前に比べて現代の食生活が歯に良いかというと、そうは言えない面もあります。
甘い物やスナック菓子をいつでも買え、コーラやジュース、ビタミンC飲料など、歯を溶かしやすい酸性飲料が日常的に飲まれ、酢のかかったサラダをさかんに食べている現代の食生活は、むしろ20年前に比べて、歯に過酷だともいえます。
※停滞性食品 キャラメル、ポテトチップス、菓子パン、ドライフルーツなど…歯にまとわりつきやすい食品は汚れが取れにくく唾液もあまり出ないので虫歯になりやすいくなります。
※酸性食品 酢の物、炭酸飲料、スポーツ飲料、栄養ドリンクなど…レモン果汁の㏗は2なので、エナメル質に影響を与えない㏗5.5までに下げるには1000倍以上に薄めないといけません。レモンスカッシュや焼酎のレモンサワーはレモンと炭酸のダブルの攻撃なので注意が必要です。
ところで、フッ素配合歯磨き剤は、どの程度虫歯予防に効くと思いますか?
WHOによると、虫歯の20~30%を減らすことができるとのことなんです。
20~30%も虫歯を減らせるなんて、これだけでも「すごい効き目だ」「フッ素入りのを使わなくちゃ損だな」と思うわけですが、上のグラフを、もう一度よく見てください。この減り方は30%どころではありません。
15~19歳では60%強、10~14歳ではなんと、80%も虫歯が減っていますね。
実は私は、「20~30%の効果なら、こんなに減るはずがないんじゃないか?」と不思議に思っています。不思議がっている研究者は海外にもいて、私たちはこんな仮説を立てているのです。
それはつまり、
「フッ素の効果は複利で増える」。
フッ素は虫歯を20~30%減らすと言われていますが、これは数年間調査した成績から割り出した数字。
フッ素配合歯磨き剤が普及した国々で起きている虫歯数の急激な減少からは、長期間使い続けるにしたがって、フッ素の効果が雪だるま式に大きくなっていく様子が伺えるのです。
銀行の貯金が複利で増えていくイメージ、と説明するとわかりやすいと思います。