子どもの指しゃぶりで大事なこと
2018年11月5日 (月)
指しゃぶり指導は4歳ごろから
指しゃぶりは、乳幼児期の子どもに多くみられる口腔習癖です。3~4歳発達途上でみられる生理的なものであり、問題視する心要がないにもかかわらず、心配し悩んでしまう保護者の方も少なくないのでは。
指しゃぶりに関する正しい知識を持ち、適切な時期にやめることが必要です。
子どものお口の健康において保護者の方の関心の高いことの1つが歯並びです。指しゃぶりによる歯並びへの影響は一般的にもよく知られているため、少しでも指をしゃぶっていると、それを過度に心配してなんとか早くやめさせようとするお母さんが少なからずいらっしゃいます。特に子育てを一生懸命されているお母さんほどいっそう熱心になりがちで、まだ2歳なのに心配して歯科医院を訪れる方もいらっしゃぃます。しかし、指しゃぶりをあまり早期から奪ってしまうと、子どもの心理状態に悪影響を及ぼす可能性も指摘されていますので、無理にやめさせる必要はありません。
4~5歳になり社会とのつながりが増してくるにしたがい、ほとんどの指しゃぶりは自然に消滅していきます。あるいは保護者が注意の言葉を伝えるだけで大半の子どもは指しゃぶりを自分の意志でやめることができます。
また、開咬や上顎前歯の唇側傾斜などが生じていても、この年齢までに指しゃぶりをやめることができれば歯列形態への影響は解消されることが多いです。
しかし、5~6歳を過ぎても継続する指しゃぶりは、歯列·顎骨の変形を招いたり、咀嚼·嚥下·発音などの口腔機能への悪影響を及ぼしたりします。したがって、3~4歳までの指しゃぶりは「当然の癖」として温かく見守り、4~5歳を過ぎても継続する時には、やめるためのはたらきかけを行うのが望ましいでしょう。
指しゃぶりの影響
乳児期から7歳に至るまで親指しゃぶりを継続して行っているため、上下顎前歯部が咬み合っていない状態(開咬)になっている。親指を長時間しゃぶることによって歯に異常な圧力がかかり、前歯部の位置異常が生じる。また上顎歯列が狭搾し、臼歯部の交叉咬合が生じやすい。
親指しゃぶりをしている9歳児の口蓋の状態。親指の吸引時に生じる頬から内側への筋圧と、親指を口蓋に押し付ける際に生じる前上方への圧力により、高く狭窄した口蓋状態が生じる。
また上下歯列間に指が介在することによって下顎骨の後下方向への回転が生じやすい。
指しゃぶりによって生じた空隙から舌が前突するため 、異常嚥下癖の原因となることがある 。また前歯で 噛み切れない 、口唇が閉じにくいためクチャクチャ食べになる 、発音時に歯と歯の間から舌が出る ( 歯間音化構音 ) 、口呼吸の誘発など 、口腔機能への影響が生じやすい 。
指しゃぶりによって口呼吸が誘発されると、上唇が弛緩し、短くはね上がった状態になりやすい。また、上顎前歯の前突と下顎骨の後下方への回転により、鼻とオトガイに対し口唇が前方へ突出した口元、口唇が閉じにくい状態、オトガイの後退感などが生じやすい。
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