子どもにキスなんかしちゃ絶対ダメ!
2020年3月16日 (月)
むし歯って、感染症なんだって。ねえ、知ってた?
ショックだわー。つまりむし歯は親からこにうつるのよ!
うちはきっとスキンシップしすぎだわよ!
あ、またチュッチュしてる!
ちょっと聞いてんの?!
お子さんのむし歯予防に一生懸命なお母さん。素晴らしいですね。「むし歯が細菌による感染症だ」なんて、よく勉強もなさって頑張ってますよね。たしかに、生まれたの赤ちゃんののお口の中にはむし歯菌はいません。それなのに大人になるころには、ほとんどの人のお口のなかにむし歯菌が棲みついています。わたしたちは、育ってくる過程のどこかで、後天的に周りの人からむし歯菌をもらっているのです。親御さんが噛みくだいた食べ物を与えたり、口うつしで食べさせたり、親御さんとお子さんが同じスプーンを使ったりするなかで、親御さんの口の中にむし歯菌がいたら、お子さんにうつってしまうんです。
むし歯の多いかたのお子さんにむし歯が多いと、「歯の弱いのが似た」なんてよくいいますよね。でもそういうとき、わたしたち歯科の専門家が心配するのは、むしろ、親御さんのお口にたくさんいるむし歯菌がお子さんにたっぷりうつっているんじゃないか、ということです。柔らかい乳歯がむし歯になったり、生え変わった永久歯につぎつぎにむし歯ができたりして、結果的に親御さんと同じような、むし歯の多い人生を歩んでしもうことがあるからなんです。
ただ、そうはいっても、親御さんがお子さんを抱っこして、頬ずりしたりキスしたりしてかわいがれる時期というのは、過ぎてみれば本当に短い、貴重な時間ですからね。むし歯予防のために、スキンシップを制限しなくてはならないというのは、ちょっと残念ですよねえ。
そこで私が提案したいのが、スキンシップを制限するのではなく、むしろご両親のお口のなかから「むし歯菌を減らす」という方法というものです。ご両親が、歯科医院で定期的にお口の検診と歯のクリーニングを受け、ブラッシング指導もしてもらうといいんですよ。お口のなかのむし歯菌がぐっと減りますからね。そうすれば、食事のときにスプーンの共有を避ける程度で大丈夫です。キスくらいしたって、どうってことありません。赤ちゃんを大切に思う気持ちを中心にして、輪を描くようにむし歯予防が広がっていくといいですよね。おじちゃんやおばあちゃんも巻き込んで、ぜひ始めてみてください。
スキンシップをなくす努力より、
ご両親のむし歯菌を減らして、
お子さんのむし歯菌感染を減らすほうが、
建設的な努力で、おすすめですよ。
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