中高生の歯周病
2020年3月2日 (月)
歯周病って「大人の病気」っていうイメージが強いですよね。ところが近頃は、若年層の歯周病が増えています。以前は考えられなかったことなのですが、 19歳の30 %以上に歯ぐきから血が出る症状があることがわかっているんです。(「歯科疾患実態調査」2016年)
この変化のもっとも大きな原因は、食生活の変化だと考えられます。日本の伝統的な食事は、玄米、大根やゴボウなど食物繊維が豊富な食材が多く含まれて、よく噛まなければ食べられなかったですよね。歯周病は、歯にベタベタ付くプラークのなかの細菌が炎症を起こすことによるものですが、食物繊維は歯にベタベタ付かず、むしろ擦って掃除してくれるし、よく噛むと唾液がタップリ出て洗い流してくれる。結果的に口のなかの自浄作用が高くなります。
ところが今はスパゲティやハンバーガーのような、軟らかくて歯にベタベタ付く食事が人気です。しかも噛む回数が減れば、その分唾液が減ります。自浄作用がガクッと落ちてしまううえに、細菌のエサになる甘いものも豊富です。つまりプラークが増えやすく留まりやすく、歯周病にもなりやすい食生活になっているというわけです。
もちろん、からだの抵抗力が細菌の攻撃力にまさっていれば炎症は起きません。そのへんは若さでカバーできるかもしれませんね。でも、細菌が口のなかに多量にありすぎたり、塾通いや夜更かしで疲れていたりすると、細菌の攻撃にからだの抵抗力が負けてしまって、炎症、つまり歯周病がはじまってしまいます。
中高生くらいだと、歯がグラグラするような重度の歯周病はまれで、まだ歯周病の初期症状の「歯肉炎」の人がほとんど。歯肉炎は歯ぐきの腫れだけで、歯を支える骨は失われていないから、今のうちに治せば、歯がグラグラするようなことはありません。
でも、このまま放つておくと悪化して将来歯が抜けてしまいます。だから歯医者で上手なブラッシング方法を教わってプラークコントロールをしましょう。歯ぐきのピシッと引き締まったカッコイイ大人になってください。
気づかないうちに歯周病になっているのではないかと心配される方は、とても多くおられます。歯周病は自覚しないうちに徐々に進行することが多いので、日常的にチェックすることは、とても大事です。1週間に1回は、鏡を用いて、口の中をよく観察しましょう。その際のポイントは、歯と歯の間の歯肉の三角形の部分(歯間乳頭)。歯肉の炎症はここから始まることが多いので、赤くなっていないかをよく見てみましょう。
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