歯周病は歯ぐきだけの病気?
2020年1月6日 (月)
「歯周病?あぁ、歯ぐきの病気ね。歯みがきすると血が出るけどちっとも痛くないよ。歯医者で治療した方がいいって?そんな大げさな。」
こんな方いませんか?歯周病を歯ぐきだけの病気だと思っているのは、大いなる誤解です。たしかに最初は歯ぐきが腫れるだけです。しかし進行すると歯を支える骨がなくなって、歯が抜けてしまいます。しかも相当悪くならないと痛みが出ません。だから逆に怖いのです。
歯みがき後、短時間で血が止まります。そのたびに治った気がするかもしれませんが、それも間違いです。炎症は治っていません。治っていないので、次の日も血が出る。毎日磨いているのになぜでしょう。
歯ブラシが届かない歯ぐきの溝の奥(歯周ポケット)までプラーク(細菌のかたまり)が入り込んでいるからです。
歯周病のごく初期、歯肉炎なら溝が浅いため汚れもたまりにくく、歯ブラシが届くかもしれません。しかし毎日血が出るような状態が続くと溝が深くなり、奥に歯石がガチガチに付いてそれにプラークが絡みつきます。こうなるとどうやったって自分で汚れを取り除くことはできません。
歯周ポケットの中の汚れがひどくならないように、毎日の歯みがきで口を清潔にすることはもちろん必須です。でも隠れたところも綺麗にしないといけません。
しつこいバイオフィルム(細菌とタンパクなどの膜)や歯石を歯医者で取ってもらいましょう。まさにボンドやコンクリートのようにくっついているのですから、プロにしかできない仕事です。
何年も歯石を取らずにいる人いませんか? 細菌がウヨウヨして炎症を起こしてしまいますよ。このまま放っておくと将来は入れ歯になってしまいます。日本では最低限の入れ歯なら保険でできますが、でもだからといって、入れ歯になってもいいやと思っているわけではないですよね?
周りの先輩方に聞いてみてください。入れ歯でどんなに不便な思いをしておられるか。悪くなってから歯医者に行けばなんとかなると勘違いするのは、そろそろやめなくちゃ行けませんよ。
また、近年、歯周病が糖尿病や誤嚥性肺炎、心臓病、早産などの原因となることがわかってきました。気道や血管を介して肺や心臓に入り込んだ歯周菌が肺炎や心疾患の原因となったり、歯周病によって誘導されたTNF-αなどの炎症性サイトカインが糖尿病や早産を誘発することが、多くの疫学調査や基礎研究から明らかになっています。
歯周病は全身の健康を脅かす病気です。悪くならないうちに定期的に歯科医院で診てもらいましょう。
カテゴリー: 未分類