細菌の世界もバランスと多様性が大事です。
2020年12月7日 (月)
私たちの健康は、私たちの体に住み着いている細菌たちと切り離して考えることはできません。自然なやり方で感染症を防ぐに、善玉菌、悪玉菌、日和見感染、のバランスを維持しストレスや食生活の乱れで失われがちなバランスをプロバイオティクスの力を借りて育菌して、しっかりと維持していきましょう。
今回は、お口の中で効果を発揮するプロバイオティクスをおもに取り上げていきました。お口の中で悪さをする虫歯菌や歯周病菌は、体外から侵入して重大な健康被害をもたらすようなコレラ菌、チフス菌といったぎく悪菌ではありません。誰の中の奥地にも住んでいて航空環境さえ悪化しなければ、おとなしく過ごせる平凡な細菌です。ですから、虫歯菌や歯周病菌が活躍しないようにするお口の中の環境を整えるこちが一番大切です。
私たちのお口の中の細菌叢(細菌の群れ)は、人それぞれの個性があります。虫歯菌も歯周病菌もほとんどいないラッキーな人は少数で、ある人は虫歯菌はほとんどいないけれど歯周病菌が多かったり、虫歯菌は多いけれど歯周病菌は少ない、といった具合に、その濃淡はさまざまです。そうしたお口の中の違いが、虫歯になりやすさ、歯周病のなりやすさに大きく影響しています。
そこで欠かせないのが、歯磨きでプラーク(悪さをする細菌の塊)をきれいに取り除くという従来のやり方です。口の中にいつか暴れだすかもしれない細菌をたくさん培養しては、その被害にあいやすくなってしまいます。だからこそ、毎日丁寧に歯磨きをするのが重要なのです。
それに加えて有効なのがプロバイオティクスです。善玉菌をたくさん送り込んで育菌し細菌のバランスを整える、つまり虫歯菌や歯周病菌の縄張りを減らして押さえつけ、おとなしくさせてしまう方法です。この方法のメリットは、トラブルの根本原因である細菌叢にアプローチでき、病気のリスクそのものを減らせるということです。
また、例えばLロイテリ菌などは、お口に良い効果をもたらすだけではなく、腸にも良い効果をもたらす効果がわかっています。腸の細菌バランスも維持されれば、免疫物質がさかんに作られ、からだ全体の免疫力アップが期待されますし、また、そのことによって歯茎に起きた歯周病の炎症が治りやすくなったり、口内炎がなりにくくする効果にもつながります。
そのほかにも、私たちの皮膚にすむ細菌が原因であるニキビが減るなどのうれしい効果の報告も、プロバイオティクスの効果を実感する人からはよく聞かれることです。
抗生物質という重要な薬が生まれてから、わたしたちはほとんどの感染症を克服したという気持ちになりがちでした。しかし現在では、抗生物質の使い過ぎによって生まれた副作用による耐性菌の問題が指摘され、抗生物質の使用をいかに減らすかが重要なテーマになっています。
また、細菌感染によって病気が発症してから対処するのではなく、普段から細菌と共存し、細菌の力を借りながらいかに健康を増進するか、感染症を予防するかということも、重要なテーマになっています。
私たちは、多種多様な細菌とともに暮らしています。この細菌たちと一緒に健康を育んでいくために、お口のためのプロバイオティクスも、ぜひ一度試してください。
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